国際センター
について

About International Center

センター長メッセージ

豊潤な世界に触れるということ

以前の自分がどんな人間だったかもう思い出せない。友人との口論で自然と現地の言葉が口をついて出てきた時、ふと我に戻って少し嬉しくなった。たった1度の幅のなかで生きてきたことに気が付いた時、残りの359度をもっと知りたくなった。

これらはすべて、留学や海外研修から帰ってきた学生たちの言葉である。留学は万能ではない。全ての道に通ずるわけでもない。この混沌の時代にあって、いくら注意をしていても予期せぬ困難に直面することだってある。ただ、異国の地に、あるいは自分の慣れ親しんできた言葉が通じない場所に一定期間身を置いた経験のある者であれば、多かれ少なかれ先のコメントの主たちと似たような肯定的な感覚を共有しているはずである。

多様化しつつあるとはいえ、日本ほど言語や生活様式が独特な系のなかで閉じている国はそうはない。それ自体は別に悪いことではなく、そこに根を張ることが安心の礎ともなる。だが、本学の学生には少しだけでも外に向けてアンテナを張ってみてほしい。閉じた系の外に広がっている豊潤な世界と自分とのケミストリーを楽しんでほしい。そして、その経験から何かを能動的に発信してほしい。

国際センターの役割は、そうした志を持った学生たちの気持ちをしっかりと受け止め、可能な限りの支援を行うことである。事前の情報収集や現地とのやり取り、さらには語学学習や危機管理意識の醸成も、個人で行うには限界がある。そのために、国際センターは学生たちの安全に最大限配慮しながら留学を充実したものにする手助けをしてきたし、これからもそれを全力で続けていく。

本学での勉学や学位の取得を志す留学生たちもまた、掛け替えのない存在である。人生の重要な一時期を過ごす場所として、数多くある大学の中から東京都立大学を選んでくれ、キャンパスに活力と奥行きを与えてくれていることに心から感謝している。あなた方一人ひとりが、多くの大学や多くの国々と本学をつなぐ貴重な架け橋である。だからこそ国際センターもまた、あなた方に素晴らしい出会いと発見を促す存在でありたい。嬉しいときも不安なときも、あなた方と大学をつなぐ窓でありたい。

学生の送り出しと受け入れの流れが活性化すれば、キャンパスもまた自ずと息を吹き返す。人々の心に張りが生まれる。2年も待った。今年が本格的な留学再開元年となることを切に願う。

2022年春
国際センター長  綾部真雄